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インフォームドコンセントは重要です

「インフォームドコンセント」とは患者が医師から治療方法などを十分に知らされたうえで同意することとされており、欧米では1960年代に確立し、日本でも平成2年に日本医師会がその重要性を指摘し国内でも急速に認知されるようになりました。
遅れて、獣医療の世界でも「インフォームドコンセント」が重要だと認識されるようになりました。
当院でも診断から治療に至るまで一般の方に理解できるような言葉でイラスト、骨格標本などを用いて説明します。時には、診察時間よりこちらが長くなったり、1日の診療数が制限されることもあります。
私は開業して1ヶ月くらいの時、パルボ感染症の犬を死なせてしまったことがあります。初診時に確定診断までついて飼い主さんへ病気の説明、治療方法、予後について説明したつもりでした。入院をお勧めしたのですが、外来で通うという飼い主さんの希望でしたのでその日の治療を行いお返ししました。お返しできる状態ではなったのですが・・・。翌日、他院へ自主的に転院され入院治療されその翌日に亡くなったようです。亡くなったその日に、飼い主さんが来られその経緯についてお話しされました。その中でびっくりしたことは「あなたが入院を勧めてくれていたら・・・」という言葉でした。「えっ!」入院を勧めたのに・・・と思いながら飼い主さんの話を最後まで聞き頭を下げました。最後にこの飼い主さんは、また犬を飼うから、そしてまた連れてくるから○○先生(転院された病院の先生)くらい立派になりなさいと帰って行かれました。
自分では説明したつもりになっていました。しかし、その説明が相手にしっかり伝わってなければそれは説明したことになっていない!ということを身に染みて感じました。1つの命を犠牲にしたことは私の「わかりやすいインフォームドコンセント」の原点です。